「シティコン海底山脈」が国会の場に

昨年9月の防災フォ-ラムで、4名の国会議員・代表をお招きし、シティコン海底山脈を議論しました。務台駿介衆院議員(自由民主党)、川田龍平参院議員(立憲民主党)、小野泰輔衆院議員(日本維新の会)、松田学代表(参政党)。
その後、11月に務台議員、川田議員、小野議員のご参加のもとに、シティコン海底山脈検討委員会を開催し、真剣に議論しました。
 2月18日に、中林一樹首都防災ウィーク実行委員会代表など45名の発起人が、馳浩石川県知事にシティコンの海洋活用を提案しました。
これを受けて、2月27日の衆院予算委員会第六分科会で小野議員が質問されたものです。
小野議員をはじめ、各党の皆様の応援に心から感謝申し上げます。

小野議員の質疑の模様は「衆議院 TVインターネット審議中継」のサイトでもご覧いただけます。

小野泰輔衆院議員による質疑内容

開会日:2024年2月27日(火)
会議名:予算委員会第六分科会
案件:令和六年度一般会計予算外二件(農林水産省及び環境省所管)
発言者:小野泰輔(日本維新の会・教育無償化を実現する会)
開始時間:13時23分 所要時間:31分

発言(小野議員)
2024年2月23日付の北陸版中日新聞です。
首都防災ウィーク実行委員会という方々が石川県知事に対して要望書を出した。コンクリート廃棄物で人工海底山脈を作って、漁場再生とかカーボンニュートラルにもなる使用を考えたほうがいいという提言です。
ビルが横倒しになった事例があった。熊本地震はマグニチュード7.3だが、能登は7.6、マグニチュードだと0.3しか違いがないが、エネルギーは能登が熊本の2.8倍。杭が抜けて横倒しになるような非常に大きな被害があった。
首都防災ウィーク実行委員会が言っているのは、首都直下地震や南海トラフ地震が起きた時に、瓦礫のレベルがとんでもないことになる。
熊本地震の瓦礫処理は2年で完了したが、首都直下とか南海トラフの場合は何年かかるか。震災コンクリート瓦礫をあらゆる選択肢で活用して復興スピードを高める、費用対効果も非常に高い形で活用していけばよいのではないか。
これをやったことが実はある。2011年に東日本大震災が起きた後、岩手県の宮古で県の公共事業でコンクリート塊を海洋活用・漁場整備したという事例があるが、把握されているか。地元住民と漁業者の反応はどうだったか。
コンクリートガラを海に入れることに、何か問題があるのかを聞きたい。

回答(農林水産省森水産庁長官)
東日本大震災では、大量の災害廃棄物が発生した。このうち、比較的再生利用が容易なコンクリートガラについて、漁港や漁場の整備に活用した。防波堤整備における中詰材としての活用、わかめ等の海藻が着底するコンクリートブロックの構成材としての活用などが行われた。 
地元自治体および漁業者の了解を得た上で、実施したと聞いている。その後、問題があるというようなことには接していない。 

質問(小野議員)
地元でも非常に効果が上がったと評価されているようだ。コンクリートの廃棄物がこれから大量に出ることを考えた場合に、具体的に今後どういうことが問題になっているか。
まず國貞政務官に、コンクリート塊の材料であるコンクリートとそれからと鉄筋。今は、細かく破砕して、鉄筋は除いた形で使っている。
鉄筋も入れた方が海の環境としてはいいのではないかとか、細かく砕けば砕くほどエネルギーとコストがかかっているので、鉄筋も活用すべきではないかと言っている。
これが水質に悪影響を与えるのかどうか。

回答(国貞大臣政務官)
海洋におけるコンクリート塊の活用にあたり、海洋環境への影響がないことが大前提だ。このため、一定基準以上の有害物質を含まないことや、有害物質が溶け出さないことを事前に確認をすることが必要で、現にそのような運用を行っている。

質問(小野議員)
岩手県の文書では、震災現場ではめちゃくちゃに余裕がない。試験の暇もない。公共施設など、建設時に安全性が確認できているものは、そういう試験を省いた上で使っていいという。
平時から議論しておいて、有事においてもその判断で動くことが非常に重要だ。
公共施設だけではなく、コンクリート材は平時から基準が作られていると思う。仮に南海トラフとか首都直下で壊れたものを撤去する際、この場所のコンクリートだったらすぐにでも使えると柔軟に判断していける仕組みを作っていただきたい。それだけでも復旧復興のスピードとかコスト面でかなり効果がある。
もう一つ、コンクリート塊を海洋に活用する時には、ロンドン条約に抵触するという話があるが、どうクリアしたのか。

回答(国貞環境大臣政務官)
ロンド条約に基づく1996年の議定書は、船舶等からの廃棄物の海洋投棄を規制しているが、単なる処分以外の目的で海洋に配置する行為は、規制対象外と整理されている。
ご指摘の事案は、コンクリート塊を防波堤あるいは漁場整備の資材として適正な管理の下で有効利用したものと承知しているので、本議定書には抵触しない。

発言(小野議員)
諸外国も色々言ってることがあるので、国際的にもしっかり説明できるような準備も普段からしていただければと思います。
次に、平時の話に移りたいと思います。平時にも発生するコンクリート量は相当あると思うのですが、これも普段は路盤材とか様々なコンクリート資源として、骨材として使うこともありますが、私はこういう海底山脈を作る時の材料としての活用も検討に値すると思います。
(国土交通省に)ビルの建替えなどを含めて全国で年間にどれぐらい発生してるのか。そして、現状ではどのように処理されているのか、リサイクルの総額費用あるいは単価とか教えていただきたい。

回答(国土交通省井上大臣官房審議官)
国土交通省が平成30年に実施した建設副産物実態調査によると、一年間に建設工事から廃棄されたコンクリート塊は全国で約4019万tです。このうち約329万tが同一工事現場内で利用され、約3690万tが工事現場外の中間処理施設等に搬出され、破砕されて、再生砕石とか再生砂などとして再資源化されています。
なお、直接リサイクル費用として把握しているものはないが、平成30年度の調査によると、中間処理施設でのコンクリート塊の受け入れ料金は、全国で1tあたり平均約2500円となっています。

発言(小野議員)
年間に4019万tということで、かなりの量ですよね。震災でも、一時に発生をするんですけど、ちょっと私の手元にありませんが、東日本大震災の数値を見ても、一年間でこれだけ平時でも発生している。
毎年発生しているコンクリートガラはちゃんと使われていると思うのですが、昔ほど公共事業の数がないということなので毎年のコンクリートの廃棄物の需要と供給のバランスがどうなっているかを教えていただきたい。

回答(井上大臣官房審議官)
平成30年度の建設副産物実態調査によると、建設工事から一年間、全国で廃棄されたコンクリート塊は約4019万tで、道路の路盤材として再生利用された量は約3994万tと、需給と供給は概ね等しいです。

質問(小野議員)リサイクルをしっかりやりながら公共事業をやられているということだろうと思います。
そこは安心したのですが、また災害の話に戻りたいと思います。
首都直下地震、あるいは南海トラフ地震が起きた場合に、廃棄物のコンクリート量をどのように見積もっていおられるのか。

回答(国貞環境大臣政務官)
有識者検討会においてお示しています。まず、首都直下型地震では、災害廃棄物が約1億1000万t、そのうちコンクリートガラが約6000万t発生すると推計されています。南海トラフ地震では災害廃棄物が約2億2000万t、そのうちコンクリートガラが約1億t発生するというふうに推計されています。

(小野議員)
大変な数だと思います。先ほど、年間で通常発生するコンクリート廃棄物が4000万tということでしたが。首都直下の場合は6000万t、南海トラフでは1億tということで、本当に一瞬にしてもの凄い量が廃棄物として出てしまう。これをどうしていくかは、起きてから考えたんじゃ絶対に遅いと思います。
そうした大量のコンクリート塊が発生した場合、どのように使っていくのかという取り決めがあるのか、ご答弁いただきたい。

回答(国貞環境大臣政務官)
コンクリートガラの再生利用につきましては、災害廃棄物対策指針の技術仕様において、再生路盤材や埋め戻し材等の利用用途をすでにお示ししいるところです。
そのうえで南海トラフ地震等の大規模災害に備て、有識者検討会において、大量のコンクリートガラの再生利用にあたっての利用先、あるいは関係部局との調整、技術的な課題等の検討を現在まさに進めているところです。引き続き、技術的な検討を進めていきます。
東日本大震災における災害廃棄物については、およそ2000万t配置されています。

発言(小野議員)
ご答弁いただいた内容ですと、路盤材とか埋め戻し材ということで、既存のやり方なのかなと思ったんですけど、他にも利用可能性がないのについて、是非、各省庁と連携して、こういう使い道があるよってことは、今からもっともっとこれ真剣に考えておかなきゃいけない問題だと思います。今の使い方だけならば、多分使いきれないということもあり、是非に。
これから、廃棄物を使ってない形での事業について質問しようと思います。
環境省の方でもしっかりそういう研究も進めてもらいたいと思うんですね。
コンクリートガラを使ったわけじゃないですが、長崎県の五島西方沖事業では、「マウンド礁」といって、平らな海に人工海底山脈を造っていく事業をやった。
平坦な海に人工物で山を作っていくと、海底に堆積した栄養分が海流の影響でどんどん上がっていっていく。その栄養分が太陽光が届くところに行くと植物プランクトンが発生する。
それを餌にしてお魚が育っていって、そして漁獲高が上がるというような仕組みです。
 
この五島西方沖事業に関して、水産庁に伺いたいんですが、この事業の事業費、それから単価とかですね、分かりやすい指標があれば教えて欲しいのと、それからこの事業によってどういう効果が生まれたのかをご答弁ください。

回答(森水産庁長官)
五島西方沖地区は、平成22年から27年にかけて整備をしました。事業費は約92億円です。このうちブロックを制作する工事と、それを海上運搬導入にかかる工事の費用の割合を一対一という事ですので、このブロック製作に掛かる費用で試算しますと単純に1㎥辺り1.3万円という事になります。
マウンド礁における増殖効果は、例えばマアジ1歳魚の体重が一般海域と比較して約1.5倍となっている。また、マウンド礁周辺のマアジ・マサバ・マイワシの漁獲量が整備前に比べて約1.8倍に増加しているなどが調査により確認されている。

発言(小野議員)
かなり効果がある事業だなというふうに思うんですね。私も海の素人なので、この問題を取り上げる前は全然そういう認識はななかったんですけど、そういうふうにこう海の中でうまく地形を作っていけば、あの魚が住みやすくなって漁獲高が2倍近くになるということがあって、非常にいい事業だなというふうに思うんです。で、そういう中で、もちろん天然石とか新品のコンクリート使うとかそういう話もあると思うんですが、こうした廃棄物を使って構築していくってことも結構有用だと思います。で、岩手県の田老町の事例を記述した岩手県文書というのがあるんですけど、これによると、通常のコンクリートの撤去処分をした場合には、1万5千円近く㎥辺りかかるんですけども、これ海底山脈じゃなくて、海岸近くの所で漁港施設を作った場合には、5600円ぐらいの単価で済んでるってことで、被災したコンクリートの廃棄物を有効活用することによって、コストダウンも図れるということであのぜひですね大臣、こういった効果もあるので、まあ、はまる所、はまんない所、海の近くのそもそも廃棄物瓦礫なのかとか色々あると思いますが、是非こういった活用を考えていただきたいと思う。

質問(小野議員)
大臣にも伺いたいのですが、非常にいい文書を私も見つけました。平成24年7月、【漁場施設への災害廃棄物等再生利用の手引き】とい文書ができた。東日本大震災で瓦礫がいっぱい発生したので、それを利用しながら漁場の施設の再生を図るという。非常によくできていますいろんなことに踏み込んで、チャレンジングだなぁと思いました。坂本大臣も非常にお忙しい中だと思いますが、これパラッと確認いただきましたでしょうか。

回答(坂本農水大臣)
その手引きにつきましては、東日本大震災を契機として、漁場整備にコンクリートガラを使う技術的な方法をきちんとまとめたものとして事務方から説明を受けております。

質問(小野議員)
是非ですね、これも更に深くお読みいただくとい良いことが書いてあるなと大臣も感じられると思います。
この手引きを見ると、今回、石川県はじめ能登半島地震で被災して出てきたコンクリートガラ、これも漁場整備などに使えるんじゃないか。能登も、漁業が盛んなところでもあるし、活用の余地があるんじゃないかと思います。
是非、前向きに、こういった活用法もあるんじゃないかということを環境省とも連携しながら、検討していただきたいと思います。

大臣どうでしょうか。

回答(坂本農水大臣)
有効に活用しなければいけないと思います。
ただ、先ほど環境省からもありましたように、以前のコンクリートですと六価クロムが使われたということがあるので、安全性をしっかり確認すること、それから海中に投入しますので、漁業者の方々に対する安全性、これも考えること、サシアミとか底曳網とか小型旋網とか様々な漁法がありますので、こういう既存の漁法に支障をきたさないように、このコンクリートからというものを活用すれば、大いに資源の再生に繋がると考えます。

発言(小野議員)
ありがとうございます。
クリアしなきゃいけないこともたくさんあると思います。そして何より大事なのは安全性とか、安心していただけるこ、風評被害が生じないことが大前提だと思います。
そうは言っても、災害瓦礫が積み上がってしまった場合に、それをどうやって使っていくのかは、平時から考えなければいけない。
是非、環境省とも連携しながら検討を進めていただきたい。この水産省が作った「手引」は優れたものだと思うので、これそ将来の災害にも生かしていくという観点で、ぜひ考えていただければと思います。