大地震で発生する膨大な瓦礫を建設資源として「人工海底山脈」
を築造し、漁業資源の増産に資する取り組みの検討を要請します。
首都直下地震、南海トラフ地震など全国で大地震が切迫しています。被害を軽減し、人命と財産を守るために、耐震化、家具固定、ブロック塀補強などを急がなければなりません。
一方、これらの大地震ではコンクリート殻など膨大な災害廃棄物が発生します。特に首都直下地震では十分な空地の確保が難しいという問題があります。その結果、破棄物が適切に処理できなければ、首都機能、都市機能の継続・早期復旧が妨げられ、日本経済、世界経済にも未曽有の影響が生じる可能性があります。しかし、震災廃棄物対策の具体的な検討が進んでいるとは思われません。
今日の災害廃棄物処理は単なる処分ではなく、平時と同様に、廃棄物を3R(Reuse:再利用、Recycle:再資源化、Resource資源化)として活用する考え方が基本になっています。地震で発生する膨大なコンクリート殻も、環境面での十分な検討をふまえて適切に処理し、“安全な資源”として活用するべきです。それを「人工海底山脈」づくりに活用するならば、水産国日本の沿岸部の漁業振興にも役立てることができ、一石四鳥の取り組みになります。迅速な処理、安全な資源確保、漁業振興、そして速やかな復興です。
首都防災ウィークでは、耐震化など地震被害軽減の方策と共に、膨大な廃棄物が復興のネックとなり、地球環境にも負荷を与える状況を何とかしなければならないと考えて検討を行い、本決議を採択しました。
この問題を解決するためには、内閣府、農林水産省、国土交通省、環境省など省庁間の連携と広域にわたる自治体間連携を軸に、官民を挙げた取り組みとして行うことが急務です。
このため、中央政府、東京都はじめ全国の都道府県、市区町村、各政党、経済団体などに趣旨へのご賛同と速やかな検討開始を要請するものです。
首都直下地震、南海トラフ地震の発生確率は30年以内に70~80%と想定されており、いつ起きても不思議はありません。地震により生命と財産に多大な損害が生じるだけでなく、膨大な災害廃棄物が発生します。
首都直下地震と南海トラフ地震で発生する廃棄物は43千万トンに達し、過半の23千万トンがコンクリート殻と推計されます。これらを環境面での十分な検討をふまえて適切に処理し、資源として活用することにより、長期の交通麻痺を避け、速やかに復旧復興を開始し、日本と世界経済への打撃を最小限に抑え、創造的に再生させることができます。
そのため、平時には産業廃棄物として都道府県の管理下で処分されている建設廃棄物を、資源化して活用する仕組みを事前に構築し、災害時の廃棄物処理計画にもシームレスに展開することが必要です。
他方、食糧の多くを輸入に依存する我が国では、世界に先駆けて、海洋潮流を利用して水産物を増産する「人工海底山脈事業」を国策として取り組んできました。この「人工海底山脈」建設の資源として、大量のコンクリート殻を利活用できれば、災害廃棄物問題の解決と食糧増産を同時に達成できます。
世界の漁業は、適切な対策がなければ種の多様性崩壊で2048年に壊滅すると云われており、日本沿岸でも漁獲の減少が顕著です。本提案は、我が国の重大な社会課題である海洋での食糧増産にも、地球環境の維持にも、大きなメリットがあると考えています。
平成30年9月9日 首都防災ウィーク実行委員会
中林一樹(首都防災ウィーク実行委員会代表)
瀧澤一郎(特定非営利活動法人東京いのちのポータルサイト理事長)
木谷正道(碁石海岸で囲碁まつり実行委員会代表)
賛同者(別紙)
こちらをご覧ください。
080-7991-4761 kitanimasa@hira-taishin.jp 木谷